病院や調剤薬局で注意しなければならない処方箋の廃棄について

医療機関において、医師が患者に対し薬の処方が必要と判断した際に交付される処方箋。調剤済みとなった処方箋は、医療法などに定められた内容に従い、一定期間保存することが義務付けられています。処方箋には、患者個人を特定できる情報が多々記載されているため、保存期間中は取り扱いに十分注意する必要があります。ここでは、病院や調剤薬局で処方箋を保存・廃棄する際に押さえておきたいポイントについて説明します。

処方箋はすぐに廃棄しても良い?

処方箋は、薬剤師法により「調剤済み」となった日から、3年間の保存が義務付けられています。調剤済みとなった日から3年が経過した処方箋は、廃棄処分することができます。ただし、生活保護法や自立支援法に関連する処方箋は、調剤済みとなった日から5年間、保存しなければならないと定められているため注意が必要です。薬局では、処方箋の他にもたくさんの帳票を扱うため、生活保護、自立支援など、保管期限が違う種別ごとに、わかりやすく整理・分類しましょう。
なお、調剤済みの処方箋は、定められた基準を満たす場合に限り、病院や薬局以外の場所に保存することができます。また、電子媒体による保存も認められていますが、いずれにおいても必要があれば直ちに利用できる体制を整備するとともに、患者の個人情報の保護に配慮することが求められます。

処方箋を廃棄する上で注意すべきこと

処方箋には、プライバシーに関わる個人情報が多数記載されています。例えば、医師が交付する処方箋には、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間等が記載されています。これらの情報が患者の意図に反して流出すれば、患者の病歴や治療歴を不特定多数の人に知られてしまう恐れがあるため、廃棄処分が決まった処方箋であっても、慎重に取り扱わなければなりません。万が一、不適切な処分が原因で患者の個人情報が流出すれば、病院の信頼が損なわれるだけではなく、慰謝料請求といった問題へ発展する可能性もあるのです。

処方箋の廃棄方法にはどんな種類がある?

保存期間を過ぎた処方箋は、シュレッダーで細断し廃棄するのが最も手軽で安価な方法です。手軽な反面、シュレッダーでは一度に細断できる量が限られるため、大量の処方箋を廃棄する場合には、溶解処分などを選択するのがベストです。なお、処方箋の廃棄を専門の業者に依頼する際は、優良業者であるかどうかのチェックだけではなく、処方箋が最終的に廃棄処分されるまでの安全性が確保されているかどうか、よく見極めた上で契約するようにしましょう。

薬剤師・薬局管理者が扱う処方箋の保存期間は、患者によって異なる場合があるため注意が必要です。また、保存期間を過ぎた処方箋を廃棄する際は、処方箋に記載された個人情報の取り扱いに十分配慮しなければなりません。不適切な廃棄方法により、紛失や情報漏洩が起きないよう、正しい方法で廃棄するよう心がけましょう。